今だから知っておくべき!
防災対策としての家づくり

ずっと住む家だから家族の安全を守り、安心して暮らせる家づくりをしたいと考える方もいることでしょう。
家の防災対策にはさまざまな方法があり、地震や水害などからどのように耐えられるのか、家を建てる立地なども考慮して計画を立てます。

本記事では、昨今注目を集める防災の家について、どのような家づくりをおこなうのかを解説します。
マイホームへの理想をもとに、ライフスタイルに合わせて家づくりに採用できるものを検討してください。

防災に対する意識が高まる昨今

日本は、世界中で起こるマグニチュード6以上の地震の、約20%が発生する地震大国です。
これは、地球上で14~15枚あると推測されているプレートのうち、4つのプレートがぶつかりあう位置に日本があるからです。

また、山地や丘陵地は国土の約7割を占めています。
気象庁では、地球規模での気候変動が原因により、100年単位で0.76度気温が上昇し続けていると発表しています。
日本においてはそれ以上に気温の上昇が著しく、2023年の世界の平均気温の基準値より、日本の平均気温は0.53度高いといった結果も出ました。

引用:気象庁「世界の年平均気温

気温の上昇などが原因により豪雨は発生しやすくなり、洪水や土砂災害による被害も増えています。
大地震や水害が毎年のように起こり、改めて災害・防災について考えさせられる昨今、できる防災の一つとして、災害に強い防災の家づくりが注目を集めています。

防災の家には、2つの目的があります。

  1. ①被害を最小限に抑える
  2. ②被災のあとも生活できる

災害から住む人の命を守り、住み続けることができるのが防災の家である重要なポイントです。
今回は、災害に強い防災の家づくりについて、詳しくご紹介します。

防災対策としての家づくり

防災対策のされた家づくりではまず、立地の地盤状況が重要です。
建物がしっかりと支えられる軟弱な地盤ではないかは、地震に強い家を建てるうえでの重要なポイントです。
また、高低差がないか河川から近いかなど、エリアによって水害による過去の被害状況は異なり、リスクを想定することも可能です。

構造では、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造のうち、どの構造で建てるのかを考えます。
建物の容積に対する基礎の広さや、高さなどでも構造の強さは異なります。

ほかにも、地震の揺れに強い間取りや水害が起きても被害の少ない間取り、災害が起きても家が機能する住宅設備を備えるのも防災の家の特徴です。

災害に強い、防災の家とは

防災の家とは具体的にどのような家なのか、土地選びからはじめる家づくりについて解説します。

防災の家の4つのポイント!

防災の家を建てるためには、次の4つのポイントについて考えながら計画します。

  1. ・立地
  2. ・構造
  3. ・間取り
  4. ・設備

それぞれのポイントごとに、どのような対策が必要であるかを解説します。

防災の家のポイント「立地」

土地探しからおこなう家づくりの場合、防災の家を建てるためには立地について考える必要があります。
地震に強い地盤であるか、水害が発生するリスクが少ないエリアかどうかを調べましょう。

海や川沿いに多い軟弱な地盤に家を建てると、地震によって液状化現象が起こる可能性が高いです。
液状化現象とは、地面が揺すられることで地下水の圧力が変化し、砂の粒子の結びつきが弱くなり、地盤が液状化する現象です。
建物自体が強い構造であっても建物が地盤から少しでも傾いてしまえば、震災後の生活は困難になるでしょう。
建築前の地盤調査により強度を確認しますが、確保できなかった場合には地盤補強工事が別途必要です。

台風などで豪雨になったときに、雨水が流れてこない地形であるのかも重要です。
とくに河川の近くで土地探しをするときには、水害のリスクに備える必要があります。
昨今では、集中豪雨により市街地でも、排水機能が処理能力を超える「内水氾濫」により浸水の被害にあうケースも出てきています。
川沿いでないから安全とは言い切れないでしょう。

地盤の液状化リスクと水害の発生リスクは、国土交通省や各市町村が公表しているハザードマップなどでチェック可能です。
住んでからの災害リスクを最小限にするため、土地の購入前に住宅会社や不動産会社などに相談しながら調べてみましょう。
土地選びでは利便性だけでなく、安全性についても十分に考慮する必要があります。

参考:国土交通省「ハザードマップポータルサイト

防災の家のポイント「構造」

家を建てるときには、生命・健康・財産が守られながら安全・快適に暮らせるよう、土地や建物に課せられた基本ルールとなる「建築基準法」に沿って家づくりをおこないます。
建築基準法では、土地に対してどのような建物が建てられるかなどが細かく定められており、地震に対しては新耐震基準が定められています。
新耐震基準では、震度6強から7以上の大規模な地震でも、倒壊・崩壊しない程度の強さを持つ建物を建てるのが義務です。

新耐震基準は耐震性能の最低ラインとなっているため、住宅会社によって耐震性能は異なります。
耐震等級は、地震に対する建物の強さをレベルであらわしています。

  1. ・耐震等級1:新耐震基準
  2. ・耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる
  3. ・耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の地震に耐えられる

大きな地震が起こっても住み続けられることを想定して建てられた、「耐震等級3」の最高レベルの耐震性能をもつ家を建てられる住宅会社も増えてきています。

地震以外にも、地面をかさ上げして高くして水害に備える家づくりや、奥行きのある庇には
柱や壁で強度を保つなど、暴風に強い家づくりについても考える必要があります。

防災の家のポイント「間取り」

災害に強い間取りや災害時に備えた間取りにするのも、防災の家のポイントです。

  1. ・シンプルな四角い形の家
  2. ・開口部を減らした家
  3. ・避難経路が確保された家

シンプルな形の家や開口部が狭い家ほど揺れに強く、地震の被害を抑えられます。
複雑な形にしてしまうと一カ所に負担がかかりやすいため、破損などのダメージをうける可能性があるからです。

間取りの設計時には、造作などで収納スペースをあらかじめ確保しておくのもよいでしょう。
タンスなどの家具が転倒するとケガにつながるほか、避難経路を防いでしまう恐れもあります。
出入口は2つ以上設計し、屋外に脱出する際の避難経路の確保も重要です。

水害を想定するのであれば、浸水のリスクの少ない2階に備蓄スペースをつくるのもよいでしょう。
地震に強い家であることと、地震時に安全が守られる家であるのかを考えてプランニングするのがおすすめです。

防災の家のポイント「設備」

万一、被災したとしても次の設備があれば最低限の日常生活が送れます。

  1. ・太陽光発電と蓄電池で停電対策をする
  2. ・備蓄庫(パントリー)で食料・飲料などを確保する

災害時にインフラ設備が機能しなくなると日常生活がままならないほか、ストレスを感じやすいでしょう。
太陽光発電と蓄電池システムがあれば、自家発電したエネルギーを貯めておけます。
設備が損傷していなければ、停電時でも冷暖房設備で快適に過ごせたり自炊ができたりと、最低限の日常生活を送れるでしょう。

キッチンパントリーやシューズクローゼットなどの備蓄庫を計画し、トイレットペーパーなどの生活必需品や、食料、飲料を確保するのも重要です。
被災しても救援物資が届くのを待たずに、お腹を満たせます。
甘い物なども備蓄しておけば、被災後のストレス緩和にも役立つでしょう。

そのほかにも、雨水タンクで貯水するほか、火災時の延焼対策になる電動シャッターなども役立ちます。
巨大地震が来たときのライフラインの復旧には、電気で約1週間、水道で1〜3週間、ガスで2〜5週間かかると予想されています。
自分たちでできる備えについて、しっかりと計画していく必要があると言えるでしょう。

まとめ

防災の家づくりは、立地・構造・間取り・設備の各ポイントからどのように災害から備えるのかで計画していきます。
地震に耐えうる地盤であるのか、川沿いでなくても内水氾濫による浸水リスクが少ない立地であるのかをまず考えます。
家を建てる立地から、どのような住宅を建てれば災害リスクを抑えられるのか、どの程度備えるのかによって家づくりを進めていきましょう。
また、万一被災したあとの生活についても、同時に考えることをおすすめします。

防災の家について詳しく知りたければ住宅公園へ

立地ごとに異なる災害のリスクを把握し、どのような建物であれば家族が安心・安全に暮らせるのかを把握しながら家づくりをするのが重要です。
住宅公園では、地震や台風、水害などに強い家について、プロに気軽に質問・相談ができます。
納得した家づくりをおこないたいのなら、住宅公園へぜひお越しください。

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